有限会社まるぜん福岡

博多かつお菜 ~消えゆく伝統野菜~

枕詞に「博多」のついた名物は数多く、
稀少ですが野菜にもあります。
「かつお菜があるけん博多たい」とは言いませんばってん、
博多の雑煮、かつお菜がなくては語れません。

「勝つ」に通じることから縁起を担ぎ、正月にふさわしい野菜とされ、
年末年始は市場でも商店街でも引っ張りだこという人気者。
出汁が良く出ることから「鰹魚菜」・「勝女菜」とも称され、
語呂合わせの良い野菜なのですぞ。

されど、皆様から「ちやほや」されるのはこのときだけ。
年末年始以外は見向きもされず、寂しい日々というのが現実。
今日では、作付面積は約二町三反余り(約2万3,000㎡)、
生産者も十名前後というのが実情。
使う用途が雑煮だけに限られ、
12月から2月までが出荷時期と限定されており、
消費が激減するのは伝統野菜の宿命なのかもしれません。

葉を一枚、一枚かいで収穫しますが、
「ちぢれた葉、やや苦い大人の味」など、 灰汁と個性は強烈。
「おひたしや油いため」など簡単な調理でなかなかうまいのに、
なぜか普段使いされません。雑煮御用達という印象が強すぎるのでしょう。

そんなこんなで、今やかつお菜は風前の灯。
「生産が先か、消費が先か」という「鶏と卵」論争をしても始まりません。どうすれば良いのか。
そこで、紳士淑女の皆様にお願い。
「ひと・もの・かねをあまり使わないエコ作戦」に手を貸していただきたい。
なーに、簡単、簡単。名づけて「かつお菜ください!」小作戦。

食事に行ったときはかつお菜の料理を注文。
「かつお菜を使った野菜料理を一品」とオーダーすること。
自宅で一週間に一度はかつお菜の料理を食べる。
最寄りの店でかつお菜を置いていない場合がありますね。
ここがミソですぞ。ちゃんと、「かつお菜が欲しーい。来週でもいいからネ」と、
やんわりと店の人に伝えてください。これでOK。ぜひ、ぜひ、実行してみてください。